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CxOになぜ「トキメキ」が必要なのか?

CxOになぜ「トキメキ」が必要なのか?

条件だけでは続かないCxOキャリアの本質を解説します。(公開日: 2026年8月1日 / 執筆: CxO+CAREER編集部)

この記事の要点

  • CxOのキャリアは、年収や肩書といった条件だけでは続きません。条件は「入る理由」にはなっても「続ける理由」にはならないからです
  • 実際に活躍しているCxOたちは、事業への「トキメキ」を燃料に、経営につきものの「幻滅」を乗り越えています
  • 企業側もそれを知っているからこそ、条件交渉より先に「この事業にトキメいているか」を見ています
  • トキメキは特別な才能ではなく、自分の原体験と事業テーマの接点から見つけることができます

「条件のいい話」なのに、なぜか心が動かない

CxOクラスの転職や案件の話には、必ず条件が並びます。年収、ストックオプション、肩書、裁量、リモート可否。どれも大事な要素であり、私たちも案件をご紹介するときには必ず整理してお伝えします。

それでも、長くこの仕事をしていると分かることがあります。条件が良いのに、なぜか心が動かない話がある。逆に、条件は平凡なのに「なぜかこの事業が気になって仕方がない」という話があり、そして後者を選んだ人のほうが、結果的にうまくいくことが多いのです。

私たちはこの「なぜか気になる」の正体をトキメキと呼んでいます。CxO+CAREERを運営するシェアエックスが、マッチングで条件よりも先に確認する指標です。精神論に聞こえるかもしれませんが、これはCxOというキャリアの構造に根ざした、極めて実利的な話です。理由は3つあります。

そもそも「トキメキ」とは何か?──科学的な根拠

私たちが「トキメキ」と呼んでいるのは、新しい可能性への期待を伴うポジティブな感情──平たく言えば「ワクワク」です。感覚的な言葉に聞こえますが、その働きは脳科学・心理学の研究で裏づけられています。

第一に、脳科学の知見です。脳内のドーパミン神経は、報酬そのものよりも「新しいもの」や「報酬への期待」に強く反応することが知られています(Schultzらの報酬予測の研究など)。ドーパミンは快楽の物質と誤解されがちですが、実際には探索と学習を駆動する物質です。何かにトキメいているとき、脳は「ここに学ぶ価値がある」というシグナルを発している状態にあるのです。

第二に、心理学の知見です。DeciとRyanの自己決定理論では、人の動機づけは、外から与えられる報酬による外発的動機と、興味や意義そのものから湧く内発的動機に分けられます。困難な仕事を長く続ける力になるのは後者で、内発的動機は「自律性」「有能感」「関係性」の3つが満たされると育ちます。さらに、金銭報酬が内発的動機をかえって弱めてしまう「アンダーマイニング効果」も、繰り返し確認されてきました。年収や肩書だけではCxOが続かないのは、この構造ゆえです。

第三に、ポジティブ感情の研究です。Fredricksonの拡張−形成理論によれば、ワクワクのようなポジティブ感情は思考と行動の幅を広げ、その過程でスキル・人脈・心の回復力といった「資源」を蓄積させます。そして蓄積された資源は、逆境──つまり幻滅の場面でこそ効いてきます。

トキメキを支える3つの科学的メカニズム:脳科学のドーパミン報酬系(新奇性と期待に反応し探索を駆動)、心理学の内発的動機づけ(自律性・有能感・関係性で持続、外的報酬はアンダーマイニング効果で内発的動機を弱めることがある)、行動科学の拡張形成理論(ポジティブ感情が視野を広げ資源を蓄積し逆境からの回復を支える)

つまりトキメキとは、単なる気分の話ではなく、脳が探索を促し、動機を持続させ、資源を蓄積させる仕組みのことです。この前提の上で、CxOにトキメキが必要な3つの理由を見ていきます。

理由1:経済条件や地位だけでは、CxOは続かない

CxOの仕事の実態は、華やかな肩書とは裏腹です。権限より先に責任が来る。答えのない意思決定を迫られる。経営陣と現場の板挟みになる。成果が出るまで時間がかかり、その間も結果を問われ続ける。

一方で、年収と肩書には強烈な「慣れ」があります。入社初日にはあれほど嬉しかった条件が、3か月後には日常になり、モチベーションの源泉としては働かなくなります。心理学でも、報酬や地位のような外発的な動機づけは、興味や意義といった内発的な動機づけに比べて、困難な仕事を続ける力になりにくいことが知られています。

条件だけで参画した人にとって、最初の修羅場は「割に合わない仕事」に変わります。トキメキを持って参画した人にとって、同じ修羅場は「乗り越えたい課題」のままです。条件は入る理由にはなりますが、続ける理由にはならない——これが1つ目の答えです。

理由2:一線のCxOたちは、トキメキで「幻滅」を乗り越えている

経営には幻滅がつきものです。参画前に聞いていた話と違う現実。思うように進まない事業。資金繰りの重圧。信頼していたメンバーの離脱。そして、意思決定の9割を占める地道なオペレーション。どれほど輝いて見える企業でも、中に入れば必ず幻滅する瞬間があります。

私たちはYouTubeで「トキメキラジオ」という番組を配信しています。上場企業の創業CxOをゲストに迎え、キャリアの中での「トキメキ」と「幻滅」を両方語ってもらう番組です。毎回はっきりと見えてくるのは、トキメキと幻滅はセットであるということです。幻滅を経験したことのない経営者は一人もいません。

違いを分けるのは、幻滅したときに辞める理由を探すか、それでもやりたい理由が残っているかです。事業そのものにトキメキがある人は、幻滅の底でもう一度「そもそも自分はなぜこれをやりたかったのか」に戻ることができます。トキメキは、幻滅を乗り越えるための燃料なのです。

理由3:トキメキを持てる人材でなければ、そもそも選ばれない

ここまでは働く側の話でしたが、実は企業側も同じことを見ています。

CxO候補との面談で、企業の経営者が最も敏感に感じ取るのは、スキルや実績の前に「この人は自分の事業に本気で興味を持っているか」です。条件の確認から入る候補者と、事業の中身に食いついて質問が止まらない候補者。どちらを経営チームに迎えたいかは、言うまでもありません。

企業がCxOに求めているのは、評論家ではなく当事者です。外から正論を述べる人ではなく、自分ごととして泥をかぶる人。そしてトキメキは、当事者性のもっとも確かな源泉です。トキメキは面談の場で隠せませんし、偽ることもできません。

逆に言えば、トキメキが伝わる人材には、企業は条件を工夫してでも来てほしいと動きます。トキメキを持てる人材であることは、選考を突破するテクニックではなく、そもそも土俵に上がるための条件になりつつあるのです。

トキメキはどこから来るのか?見つけ方の3ステップ

「自分が何にトキメくのか分からない」という方も少なくありません。トキメキは特別な才能ではなく、見つけ方があります。

  1. 原体験を棚卸しする:これまでのキャリアで、時間を忘れて没頭した仕事、悔しくて眠れなかった出来事、誰に頼まれなくてもやっていたことを書き出します。トキメキの種は、ほぼ必ず過去の中にあります
  2. 事業テーマとの接点を探す:トキメキは机の上では見つかりません。実際に複数の企業・案件と出会い、経営者の話を聞いたときに初めて「これは気になる」「これは違う」が分かります。出会いの数に比例します
  3. 小さく試す:いきなり転職で賭ける必要はありません。週1〜2日の業務委託で数か月携わってみれば、そのトキメキが本物かどうかは自然と分かります。詳しくは「CxOが業務委託で働くには」をご覧ください

よくある質問

Q. トキメキのような感覚的なもので、キャリアを決めて大丈夫ですか?

A. トキメキ「だけ」で決めるのは危険です。報酬条件、事業の実力、経営陣の信頼性といった冷静な見極めは当然必要です。これは順番の問題で、条件がすべて揃っていてもトキメキがなければ続かない、という話です。条件とトキメキの両方が揃う案件を探すべきです。

Q. 長くやっているうちに、トキメキが薄れてしまったら?

A. 自然なことです。幻滅はトキメキとセットでやってきます。役割を再定義する、次の挑戦テーマを設定する、あるいは複数社に関わって新しい刺激を得ることで再点火するCxOが多くいます。1社で完結させないキャリア設計も選択肢です。

Q. 自分が何にトキメくのか、分かりません。

A. 多くの場合、内省が足りないのではなく、出会いの数が足りないだけです。経験の棚卸しと案件との出会いを重ねる中で見えてきます。CxO+CAREERのキャリア面談では、この棚卸しからお手伝いしています。

まとめ:トキメキは精神論ではなく、実利である

CxOにトキメキが必要な理由は3つです。第一に、条件だけではCxOの仕事は続かないから。第二に、経営に必ず訪れる幻滅を乗り越える燃料になるから。第三に、トキメキを持てる人材でなければ、そもそも企業に選ばれないから。トキメキは、キャリアの飾りではなく実利そのものです。

CxO+CAREERを運営するシェアエックスは「トキメキマッチング」を掲げ、条件面だけでなく、あなたの原体験と事業テーマの接点まで見てマッチングを行っています。経営幹部の非公開案件を月平均約300案件(変動あり)保有し、業務委託から転職まで伴走します。登録・利用は無料です。

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